サッカービジネス 湘南ベルマーレの取り組み
10月22日の『スポーツビジネス実践講座A』では、J2サッカークラブ、湘南ベルマーレを運営する「株式会社湘南ベルマーレ」と地域スポーツを振興する「NPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブ」の事業や経営について学んだ。
湘南ベルマーレの歴史
雲出氏は、授業開始早々にベルマーレ平塚時代から現在に至るまでの歴代のユニフォームを学生に着せて湘南ベルマーレの歴史について語った。1枚1枚のユニフォームに込められた思いや刻まれた歴史に学生は聞き入っていた。
特筆すべきは、湘南ベルマーレが、Jリーグ初のトップチームと地域スポーツ振興を目指したNPO法人を持つ総合型のスポーツクラブということであろう。NPO法人設立のきっかけとなったのは、1998年に平塚ベルマーレから更に責任企業であったフジタ工業の撤退である。メインスポンサーの撤退による成績不振から経営が悪化し、ジュニアチームスクールも解散の危機に面した。そこで、ジュニアチームやスクールをトップチームの成績や経営に左右される株式会社とは切り離し、永続的に活動できるようNPO法人化し独立採算制をとって地域スポーツ・コミュニティの育成の場として運営している。
トップチームの経営
湘南ベルマーレの1年間のトップチームの運営経費は、8-10億円程度である。しかし、この程度の経費では、J1昇格ができたとしても定着は難しい。J1定着チームの運営経費は、少なくとも20億円程度との報告がなされている。
チームの収入源として、入場料、広告料、Jリーグからの分配金、グッズ販売等があるが、雲出氏は広告料収入について再びユニフォームを利用して解説した。現在、Jリーグから承認されているユニフォームのスポンサーロゴの貼付箇所は、胸、袖、背、パンツの4箇所に限定されている。チームの成績が良いとメディアへの露出も増えるので、スポンサー獲得営業の可能性も広がるが、1999年のユニフォームのように全てのロゴがメインスポンサーとその関連会社のものという苦しい時代もあった。雲出氏がチーム経営を支える営業について、多くのエピソードを交えながら、「最終的には人と人とのつながりがものを言う」と営業の原点を熱い口調で学生に語っておられたのが印象的であった。
湘南ベルマーレの収入源は、おおよそ半分を広告料が占めている。しかし、広告料収入は前述のようにトップチームの成績や、スポンサーサイドの事情によって大きく左右されるので、会社としては入場料やファンクラブ等からの増益を目指すことになる。そこで、湘南ベルマーレでは、社員はもちろんのこと、コーチや選手までもが自主的に早朝のJR平塚駅前に立ち、チラシ配布による試合等の告知を行っているという。この献身的な姿勢やチームの一員としてのプライドはどこから生まれてくるのか。湘南ベルマーレでは、選手や社員に求める「6訓」を制定している。詳細は割愛するが、アスリートとして人として本物であれというモットーである。雲出氏は、この6訓の浸透がいたる場所で実感できる今、湘南ベルマーレが真の意味で昇格争いができるチームになったと自負できるようになったそうだ。
NPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブの活動
最後に、雲出氏はNPO法人湘南スポーツクラブについて話された。
湘南ベルマーレスポーツクラブは、Jリーグ・湘南ベルマーレが2002年4月に設立したNPO法人(神奈川県知事認可)である。その活動は、育成年代のチーム、ジュニアスクールのサッカー、ビーチバレー、トライアスロン、ソフトボール、フットサルなど多岐に亘っている。サッカー教室事業が軌道に乗り、収益も他競技事業を援助できるまでに成長してきている。競技以外の活動として、本学との提携をはじめ、芝生のグランド作り推進、小学生駅伝大会の開催、被災地へのボール等の贈呈事業などを行っている。
そして、スポーツクラブの活動により目指すゴールは、以下に紹介する「ベルマーレの夢」に集約されていると、熱く語り続けた授業を締め括った。
「ベルマーレの夢」
サッカー、ビーチバレー、ソフトボール、スイミング、マラソン・・・
地元の利を生かした様々なスポーツが気軽に楽しめるよう
地域のいたるところにスポーツの拠点をつくりたい。
そこにはベルマーレの指導者がいて、子供から高齢者、
障害者も、だれもが日常的に気軽にスポーツを楽しめる。
そのグラウンドではおらが街のプロチーム「ベルマーレ」が週末の
勝利の為に練習に励み子供たちがその周りを取り囲む。サッカーが得意でない子は水泳に楽しさを見出し、
お母さんはバレーに熱中する。そしてクラブハウスは
世代を超えた会話と笑い声があふれる。
そう、ベルマーレは感動を与える試合を続けながら、
湘南のスポーツとコミュニティの発展に尽くす。
それが、我々が考える湘南ベルマーレの姿だ。