産業能率大学 スポーツマネジメント研究所

2009年2月

北京オリンピック研究 -アスリートの好感度分析- 2:日本代表選手の評価分類(後)

小野田哲弥


2.4 レイヤー内クラスタリング

 レイヤー分割により、関与度の"総量"が同水準の選手同士に3区分された。次に、レイヤー内の選手間で4変数の大小を比較することにより"質"的な差異の分析を行う。分析対象数の縮減も目的として、4変数の傾向が類似した選手同士をレイヤーごとに自動分類(クラスタリング)する。クラスタリング技法も諸種存在するが、本件では「自己組織化マップ」のアプリケーションソフトウェアViscovery SOMineを用いた。

 当該ソフトにおけるWard法の最適化指標に基づいてクラスタ数を確定した結果、レイヤー1では22選手が12クラスタに、レイヤー2では59選手が23クラスタに、レイヤー3では128選手が38クラスタにそれぞれ分類された。レイヤー内クラスタリングにより、分析対象のオブジェクト数は、209選手から73クラスタに縮約されたことになる。

 【図2-2】は、レイヤー1における、選手分類と4変数の対応関係の可視化であり、暖色系ほど関与度が高く、寒色系ほど関与度が低いことを意味する。これと同様のクラスタリングを、レイヤー2とレイヤー3に対しても実行した。

 


トライアスロンとスポーツマネジメント -中島靖弘-

トライアスロンとは

 1974年、アメリカのサンディエゴで誕生したトライアスロンは、1978年にハワイで参加者15名の"アイアンマン"レースが行われたのをきっかけに世界中に広がり、1981年に鳥取県の皆生温泉で日本初の大会が開催された。現在では全国各地で約200のレースが開催され、国内の愛好者は20万人を超えるとも言われている。

 最初に広まった"アイアンマン"は、水泳3.8km、バイク180km、ラン42.2km(計226km)と超長距離の設定だが、オリンピックで採用されているスイム1.5km、バイク40km、ラン10km(計51.5km)の設定は、オリンピック・ディスタンスと呼ばれ、2-4時間の競技時間ということもあり、この距離で行われる大会が最も多い。オリンピック・ディスタンスの1/2で行われるスプリント・ディスタンスは、ジュニアや初心者向けの大会などで多く採用されている。オリンピックでは、2000年のシドニー大会から正式競技として採用され、2008年北京オリンピックでは、女子のレースで日本人初の入賞(5位)を果たした。

 

トライアスリートの悩み

 オリンピックに出場するためには、世界各地で開催されるシリーズ戦に出場し、世界ランキングをあげる必要がある。世界転戦をする資格を得るために日本国内各地で行われるシリーズ戦に出場し、好成績をあげる必要もあり、トップを目指す選手には、国内外の遠征が必須条件となる。

 同じ個人競技である陸上競技とは違い、実業団チームは国内に2チームしかなく、選手は個人で活動するか、クラブチームに所属している。トレーニング時間が他の競技に比べ長いため、仕事やアルバイトをしながらの競技活動はとても難しく、遠征費を捻出するために、トレーニングの時間を削ってアルバイトをしている選手もいる。オリンピック種目とは言え、選手やクラブにスポンサーとなる企業も多くなく、スポンサー収入だけで十分な活動ができている選手は、国内では15人程度で、厳しい環境の中で競技力向上のための活動を行っている。

 また、トライアスロンは、トップアスリートが出場するレースに、年代別(エイジグループ)のレースが設定され、毎年行われる世界選手権にも一般愛好者が世界各地から出場する。

 トライアスロンは、参加費が小さな大会では15000円前後、大きな大会では35000円前後と高額であり、自転車やウェットスーツなど高額な機材も必要。また、公道を利用して行うため、都市部ではなかなか道路の使用許可がおりず、地方で開催されることが多いため、交通費や宿泊費もかかるため、トレーニングの時間の確保とともに、経済的にも負担も一般愛好者の悩みの種となっている。