産業能率大学 スポーツマネジメント研究所

スポーツメーカーのスポーツビジネス

 今回は、「「スポーツ」でビジネス・職をなす」と題し、株式会社カレッジリーグの長田氏に講義をして頂いた。長田氏はイタリアスポーツメーカー「A-LINE」の日本総代理店として、サッカーユニフォームをはじめとした各種スポーツウェアの企画・製造・販売を展開されている。また、サッカー元日本代表の前園真聖氏の韓国Kリーグ移籍時の代理人を務めた経歴を持たれている。

 

スポーツビジネスは幅が広いスポーツビジネス実践講座A

 スポーツビジネスは、既存の産業にスポーツ的要素を付け加えて成立しているので、様々な分野からの参入が可能となってくる。例えば、スポーツに余暇や旅行的要素を加えるとスポーツイベント会社に、また、スポーツと指導を組み合わせるとスポーツスクールになるといった具合だ。

 スポーツアパレル業とは

 それでは、スポーツとウェアの組合せから成るスポーツアパレルはどのようなビジネスモデルとなっているのであろうか。

 スポーツウェアを開発・製造・販売するスポーツメーカーは、直営・オリジナルブランド型とライセンスブランド型の2種類に大別できる。直営・オリジナルブランド型とは、直営オリジナルブランドのオーナー企業が、直営型として統一ブランディングをもって展開しているメーカーをいう。NIKEやadidas、PUMAがその代表的な企業である。一方、ライセンスブランド型とは、海外に存在する「スポーツブランド」の権利を取得して、限られた地域(例えば日本・アジア)の総代理店として展開しているメーカーをいう。「A-LINE」はイタリアのスポーツメーカーであるが、弊社((株)カレッジリーグ)が日本代理店としてのライセンスを取得して展開している。その他の例として、lotto(イタリア)は兼松繊維株式会社と、Hummel(ドイツ)はSSKスポーツと、le coq sportif(フランス)はデサントとライセンス契約を結んでいる。

 最近ではフットサルブランドに、デザイナー主導によるファッション性を重視したプライベートブランドが登場し注目を集めている。gol.、Dal Ponte、svolmeなどがその例である。

 

スポーツメーカーへの就職

 スポーツメーカーへの就職を考えている学生も多いと思うが、直営・オリジナルブランドのオーナー企業への就職は非常に倍率が高いのが現実である。また、知名度の高い海外のスポーツメーカーとライセンス契約を結んでいる国内のスポーツメーカーについても同様である。そこで、ひとつの手段としては、まだ発掘されていないスポーツメーカーを探し出し、自らが代理店契約を結ぶ方法である。例えば、イタリアにはプロサッカーチームがセリエAだけではなくセリエBもセリエCもある。このチームは村や町ごとにあるといっても良いくらいだ。そして、これらのチームをサポートする日本には紹介されていないスポーツメーカーがバックにはついている。こうしたスポーツメーカーと契約を結ぶことができればビジネスチャンスとなり、スポーツビジネスに参入することができる。ただし、必ずしも問屋・小売店やユーザーにブランディングが成功するとは限らないので、事業失敗のリスクを伴うことも忘れてはならない。

 

海外スポーツメーカーとのビジネス

 海外のスポーツメーカーとのビジネスを通して学んだことは、海外での取引はその国の文化・しきたりを理解することが大切だということである。日本のビジネススタイルは万国共通ではないということだ。しかし、時間をかけて話をすることで相互理解が生まれることもある。本社は、A-LINEとのライセンス契約を結ぶ上で、既製品を買うと在庫を抱える危険性が生じるので、受注に対して生産を行うオンデマンド販売を提案した。この販売方法を取ることで、本社は布地だけの在庫を抱えることになるのでリスクヘッジにもつながる。しかし、当初はまったく相手に理解されなかった。なぜなら、イタリアにはこうした販売方法が確立されていなかったからである。そこで、私は何度かイタリアに足を運び、お互いの立場を理解しようと試みた。その結果、ようやく契約をまとめることができた。このように、海外スポーツメーカーとの交渉は忍耐と熱意がものをいうことを実感した。

 長田氏の話を伺って、「スポーツには異なるものの共存を受容できる力がある」という前回の濱口氏の話を思い出した。そして、スポーツビジネスでは、異なるものを受容し、相互理解の上に共存共栄していこうとするマインドが、これからもっと重要となるのかもしれないと感じた。

 最後に、長田氏からブランディングの一環と称して、湘南ベルマーレの歴代ユニフォームのプレゼントがあり、学生たちは大いに盛り上がって授業を終えた。

      スポーツビジネス実践講座A   スポーツビジネス実践講座A

 

中川直樹