産業能率大学 スポーツマネジメント研究所

総合スポーツクラブについて 湘南ベルマーレ

1007_2.JPG 今回の実践講座では、株式会社 湘南ベルマーレ 営業部長 向井淳也 氏に総合スポーツクラブ「湘南ベルマーレ」の展開するスポンサー営業についてお話頂いた。 
 湘南ベルマーレは、総合スポーツクラブである。向井氏はスポンサーに対する営業活動を行う上で掲げているコンセプトは以下の4つであると話された。

1.ベルマーレの価値を創造する
2.ベルマーレで価値を創造する
3.湘南だからできること
4.ベルマーレだからできること
 したがって、スポンサー営業の対象企業としては主に、

1.ベルマーレの価値を高める企業(有名企業、ナショナルクライアントなど)
2.ベルマーレを使って価値を高める企業(ベンチャー企業など)
3.現在・将来のスタジアム動員に繋がる企業(子ども産業、学習産業など)
4.湘南というエリアを使って売上を伸ばす企業(地元企業など)

がターゲットとなる。ざっと頭の中で対象となる企業を思い巡らせても、かなり多数の企業が思い浮かぶが、それが総合スポーツクラブとしての湘南ベルマーレの営業面での強みでもあるという。




スポンサー営業事例

 スポンサー営業の事例として学習塾、芸能プロダクション、玩具メーカーおよび料理教室向けの提案を紹介して頂いた。
 紙面の制約ですべては紹介できないが、学習塾向けには、総合スポーツクラブならではの、塾に付加価値を加えるイベントやプログラムを提案できるという。近年、保護者が塾を選択する際、成績向上はもちろんのこと、その他に豊かな人間性を育み、多様な文化を受容する機会があることがニーズとして挙げられるらしい。そこで、塾生対象の公式戦観戦イベント、サッカースクール、健康づくり教室、運動能力向上プログラムなどを学習塾側に行った。そこで、学習塾の担当者が最も興味を示したのが、湘南ベルマーレが行っているネイチャーキャンプであったそうだ。また、新たな試みとして、塾講師とサッカースクールの指導者間の交流なども提案している。
 芸能プロダクションとスポーツクラブとの提携は前例のない試みで、向井氏が過去に6年半に亘ってスポーツ選手のマネジメントを行っていた経歴からの発想である。タレントの営業やスカウト活動を行う芸能プロダクションには、広報やPR向けの確立されたノウハウがあり、向井氏には様々な提携が考えられるという。その1つとして、湘南ボーイや湘南ガールといったローカルアイドルを発掘し、スタジアムでの興行との連係で入場者数の増員を図るプランをプロダクション側に提案している。
 また、玩具メーカーとの提携では、運動能力の開発や向上を目的とした「スポーツ玩具」の製造や既存の玩具に湘南ベルマーレのマスコット、キングベルやスター選手を登場させ、サポーター限定版として売り出す提案をもちかけているそうだ。

スポンサーを獲得する上で大切なこと


 向井氏が、スポンサー営業を行う上で重要視していることは、いかに顧客のニーズを聞き出すかということだ。しかも、企業において意思決定のできる立場にある人物のニーズを聞くチャンスを作ることが、大きなカギを握るという。そして、ここまで辿り着くことができれば、ビジネスの半分まで漕ぎ着けられたと言っても過言でないという。
1007_1.JPG 顧客のニーズを聞くことができたら次は、それに対する提案を行う訳だが、向井氏はこの提案内容にこそ自分の存在価値が問われていると考えている。この独 自性は、例えば、自分がサッカーチームの営業を行っているのであれば、サッカー界の情報だけに精通していても発揮できない。様々な情報を収集し、その情報 を自分の感性で噛み砕くことで独自性は発揮できることだとし、自分の生き様にも大いに繋がるものであると語られた。そして、向井氏の語った、「営業はまさ に企画力である」という言葉は、授業に聞き入っていた学生のハートを痺れさせたに違いない。 
 向井氏は、銀行や芸能プロダクションでの勤務を経験されている。その現場で目の当たりにした様々な事例から、向井氏にもっとスポーツ選手の価値を高めたいという思いが込み上げ、現在の仕事に取り組まれているそうだ。そんな向井氏の語り口は穏やかであったが、その熱い思いが十分に聞き手に伝わる講義であった。