プロサッカー選手から広告代理店への転職
プロサッカー選手としての外池氏は、大学卒業後ベルマーレ平塚(当時)入団から2007年の湘南ベルマーレ退団までの11年間に亘って、Jリーグの7クラブで活躍した。その11年間は決して順調ではなく、戦力外通告を3回、トライアウトを2回体験している。現役時代に目の当たりにしたことは、毎年130-150名もの選手がクラブから解雇されるといった現実だ。そして、若くして道を閉ざされた多くの選手たちの行く先は見えず、決まらなかった。この現状に、サッカー選手としての歩みが終わった時、自分はどうなるのだろうかと不安を感じた。そんな中、外池氏がシーズンオフになると通ったのがJリーグキャリアサポートセンター(CSC)である。外池氏はCSCのプログラムで、インターンシップを8回経験した。当初は周囲から理解を得られない面もあったが、外池氏は回数を重ねるごとにその意義を実感できるようになっていた。その意義とは、
- サッカーを取り巻く様々な社会の動きを知ることができる
- サッカー界の情報や考え方だけでは世界が小さくなり、今後に自分が取る選択肢を狭めてしまうことに気づくことができる
- サッカーを外側から見ている人とのつながりがもてる(考えを聞くことができる)
外池氏は2007年に引退を迎えた。インターンシップ等によって人脈を広げた外池氏は、(社)Jリーグ から職員として採用の話を受けた。それと同時に、現役当時から懇意にしてもらっていた広告代理店の(株)電通からも誘いを受けていた。迷ったこともあったが、 これまでのインターンシップ等の体験を通じて、「サッカーを本当に良く知っている者がサッカー界の外へ出て仕事をしてサッカーを盛り上げることが必要」と いう思いを抱き、電通への入社を決断した。
現在は、キリングループの担当として多種多様な仕事をこなしている外池氏だが、外池氏の目指すところは、Jリーグや日本代表の試合をコンテンツとして魅力を高めるために、日本サッカー協会にそれに向けた提案をし、キリングループと共に具現化を行うことだという。そして自分の仕事は、キリングループが日本サッカー協会に言い難いことを仲介役として伝えることでもあるという。この立場は、サッカー協会とキリングループとの双方の事情に精通している外池氏だからこそ取れるスタンスなのであろう。
最後に外池氏は、「自分はサッカーを誰よりも愛している。だからこそ、サッカーに関わる事すべてを知る必要がある。」と語り、これからも貪欲にサッカーに関する仕事に取り組む姿勢を学生たちに示していた。よく学生が「この仕事のやりがいは何ですか」と質問する場面に遭遇するが、今回の外池氏の講義を聞いた学生は、仕事のやりがいとはどのようにして作り出されるのかについて、少なからずのヒントを得られたのではないだろうか。